公開: 2019年8月17日
更新: 2019年9月1日
ヒットラーが語った内容を文書化した自伝と政治的な思想を表明した本です。もともとの題名は、「虚偽、愚鈍、臆病との4年半の戦い」だったそうです。出版を担当した人が、ヒットラーに短い「我が闘争」と言う題名を勧めたそうです。第1巻の内容は、自分の家庭と教育、ウィーンとミュンヘンでの生活、第1次世界大戦での経験、戦後のドイツに起こった革命とヒットラーの政治活動、ドイツ労働者党での経験、と国家社会主義ドイツ労働者党の結党までの経緯です。
第2巻の内容は、自分の哲学、国家についての考え、市民、民族国家とは、組織、演説の重要性、共産党との戦い、強者の孤独、突撃隊、連邦制の隠れ蓑、労働組合問題、ドイツ同盟政策、西洋の指導、緊急防衛の権利などに関する議論から成っています。
ヒットラーは、ミュンヘンで政治活動を始め、1923年ミュンヘンで仲間を指揮して警察隊と衝突、逮捕された後の裁判で有罪となり、刑務所の中で執筆を開始して、1925年に第1巻を出版しました。これは、ヒットラーが語った内容を筆記し、新聞記者が手直ししたものでありました。
第1巻には、ヒットラーが反ユダヤ主義になった経過や、軍国主義的な思想を持った背景などが書かれました。第2巻では、政治手法や群集心理についてのヒットラーの見方、プロパガンダづくりのノウハウ、戦争と教育の問題なども論じているそうです。さらに経済を重視する政治の問題についても述べているそうです。
第2次世界大戦後のドイツでは、ヒットラーの「我が闘争」は、再び出版することが禁じられている。一部の研究者達は、後世の人々のために、読者を限定した再出版を考えるべきだとする意見もあるようです。出版が許されているアメリカ合衆国では、ネオ・ナチと呼ばれる思想をもった若者達が「我が闘争」を読み、影響を受けていると言う指摘もあります。
NHK BSスペシャル、ヒトラー"我が闘争"〜封印を解かれた禁断の書〜(ドイツBraodview TV/ZDF 2016年制作)、2016年6月7日放送